• オオカミさん劇場 そのいち 赤ずきん   ぶん◎沖田 雅

     むかしむかし、あるところに、それはそれはかわいい女の子が住んでいました。
     女の子はいつも、おばあさんに貰った赤いずきんを被っていたので、赤ずきんと呼ばれていました。
     ある日、赤ずきんはお母さんにおばあさんの家にお使いに行くよう頼まれました。

    「おばあさんにこれを持って行ってください」
    「はいですのママ」
    「寄り道してはだめですよ?」
    「はいですのママ」
    「変な人にもついて行かない」
    「はいですのママ」
    「あと…………、なんですか?」
     じろじろ見てくる赤ずきんに、お母さんは聞きました。
    「いえ、アリス先輩って、お母さん役がすごく似合いますのよね」
    「えっそう?」
     お母さんは頬を染めます。
    「はいですの。すごく大人っぽいですし、三角メガネがすごく似合いそう……」
    「それほどでもないわ……ん?」
     ですが、そこでなにかに気がつきました。
    「まあ、それはともかく、お使いに行ってきますですの〜」
    「ちょっ待ちなさい!! 赤井さん、まさかあなた、私が老けているとか、教育ママっぽいとか言ってるんですかっ!? 子持ち役がお似合いだとか言いたいんですかっ!?」
     ですが、赤ずきんはもう目の前にはいません。
    「きぃ〜〜!! 私が好きこのんで、こんな口うるさいがみがみキャラをやってると思ってるんですかっ!? 頭取がしっかりしてくれれば、私はこんなに口うるさく言う必要がないのにっ!!」
     お母さんは昔、将来ザマスとか言う教育ママになるに違いないと言われたことが、トラウマになっているのです。
    「私だって、私だって〜〜」
     赤ずきんはお母さんの叫び声をバックに、おばあさんの家に出発したのでした。

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